ARToolKit NFT (ARToolKit NFT Version 3)
ARToolKitNFTのツールについて
ここでは、ARToolKit NFT を用いてトラッキングする対象画像のパターンファイルを作成するためのツールについて説明します。
これ以降、トラッキング対象の画像の事をトラッキング対象画像とします。
About
ARToolKit NFT(以下、NFTと略す)は、何かしらの画像が印刷された平面の自然特徴点を用いてトラッキング(追跡)を行うことができます。
しかし、現在のトラッキングアルゴリズムの実装では、対象となる画像……トラッキング対象画像を事前に知る必要があります。
つまり、ARToolKitでマーカーのパターンファイルを作成したように、NFTでも同じようなパターンファイルを作成する必要があるということです。
NFTのパターンファイルは、トラッキング対象画像の画像ファイル、その画像ファイルを印刷した印刷物が必要になります。
ここでは、3章に分けて、トラッキング対象画像をアプリケーションに伝えるためのパターンファイルの作成方法について説明します。
なお、本章では全体概要について説明しています。
ARToolKit NFT のトラッキング対象画像の制約
NFTはなんでもかんでも登録すればトラッキングできるというわけではありません。
現在、NFT には下記のような条件や特徴があります。
- 長方形の画像であること。
- パターン作成時に必要な画像ファイルは jpeg形式とする。
- ある一定量の細かい模様や特徴点を多く含む画像である必要があります。
また、トラッキング対象画像に単一の色の広い領域を多く持っている場合(シンプルな企業ロゴや名刺など)はトラッキングできない場合があります。 - パターンファイル作成時の画像ファイルは高解像度の物を用いれば、カメラがトラッキング対象画像に近い場合や、高解像度カメラを用いた場合によりよいトラッキングを行います。
トラッキング対象画像の特徴点や特徴量を用いる関係上、シンプルなロゴ(商品ロゴ、企業ロゴ)や名刺単体でのトラッキングは難しいと考えていいと思います。
シンプルなロゴを用いる場合は、その周辺に格子模様や縞模様以外の何かを散りばめる必要があります。
トラッキング対象画像の注意点については別の章にて説明します。
NFTツール、パターンファイル関連図
各ツールと出力されるファイル、アプリケーションの関係は下記のようになっています。
NFTのパターンファイルは、4つのファイルで構成されており、ARToolworksの公式サイトではデータセットとよんでいます。
ここでは、ARToolKitで使用するパターンファイルと同じように使用するものという意味から、4つのファイルはまとめてパターンファイルとします。
パターンファイルのそれぞれについて簡単に説明します。
イメージセット(iset)
トラッキング対象画像の画像ファイルから複数の解像度でサンプリングした画像をまとめたものがこのファイルになります。 これはトラッキングの実行時にアプリケーションにロードされる非圧縮データが含まれています。
特徴集合(fset)
英語ではFeature setなので、特徴集合としていますが、素直にフィーチャーセットとカタカナ読みでも良いかもしれません。
閑話休題。
漢字の如く、トラッキング対象画像中の特徴を纏めたファイルになります。このファイルは前段階として特徴マップ(fmap)を作成する必要があり、この特徴マップは使用する画像のDPIにもよりますが数ファイル生成されます。
その特徴マップをまとめ直したものが、特徴集合となります。
KPMテンプレート(kpm)
KPMはKey Point Matchingを略したもので、使用するトラッキング対象画像から照合パターンを作成するための重要な特徴点をまとめたものです。
設定ファイル(dat)
アプリケーションで読み込む際に必要なisetファイルを指定すると同時に、その上に表示するモデルの位置、向き、スケールを設定するファイルになっています。
アプリケーションの作り方次第では不要なファイルです。
まとめ
次の章ではここで説明した各種ファイルを作成する手順を説明します。
KPMテンプレートを生成する方法が2つあるので、最初に画像のみで作成する方法を説明した後、実際の印刷物とウェブカメラを用いて作成する方法を説明します。
NFTはマーカーレス?
ARToolKitは、黒枠マーカーを識別してトラッキングすることからマーカー型と呼ばれていますが、このARToolKitNFTもまた、ある意味でマーカー型です。
マーカーと書くと黒枠が目印のアレって感じではありますが、ARToolKitでも黒枠を特徴として捉え識別子(マーカー)として扱い、パターン比較をかけて識別しています。
NFTでも同様に画像中の幾つかの特徴点をまとめて一つの識別子(マーカー)として扱い、パターン比較を行い識別しています。
そういう意味では識別子…マーカーで判別していることから、マーカー型とも言えると考えています。上記の理由と個人的なこだわりからこの文章上ではマーカーレスという言葉は使用していません。
そこはかとなく、“マーカーレス”という言葉に引きずられてNFTでできないことを要求されかねないという不安を個人的に持っているので使っていないだけとも言いますが……
とはいえ、周りに合わせて、“NFT = マーカーレス型のARToolKit” と言うのは自由だと思います。